Japanese trap - 日本語の行方

~ posterity of everything ~ 過剰における衰退

ネットカルチャーから創出される音楽と日本語の行方

最近トラップミュージックと並行して関心を持っているのは音楽とデザインが密接に絡み、欧米でこの数年広がったVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)現象。2014年後半からは大分下火になってきた感があるが、これは欧米社会において起きるべくして起きた典型的なカルチャーパターンなので特に注視している。集合意識の中である個人の行動が日常の反復から突如過去のトラウマを回帰させ、時間軸の倒錯から爆発する様に新しく生まれるカテゴリー、正にこれなのである。これはアビ・ヴァールブルクジョルジュ・バタイユのラスコーの壁画の話をも彷彿させる。Vaporwaveも現在は多様化し、今後新たなムーブメントに変わっていくかもしれない。Vapowave専門のレーベルDreamcatalogueも最近は若干テイストが変わってきている様に感じられる。

最近はこのVaporwaveが更にジャンルレスに発展し、関連するデザインにHip-hopや他ののジャンルにまで日本語の登用が見られる。日本以外にてマス的に定着したTrap Beatにおける和楽器サンプルの使用、日本語名、日本語のタイトルの使用などもその影響と思われる。

インターネットネイティブ世代が現れてからは、ストリートカルチャーと言われていたものが、多くの新しい現象の場をネット空間に移行している。そんな中、日本語が文字として、発生される言語として少なからずとも登場してくるのである。同時に海外からは日本人が想像する以上に日本語の情報をネットで検索し、発想の元となる情報を探究している事が分かる。こうした背景には日本語を学ぶ人口が増えただけではなくグーグルの翻訳機能などネットにおけるIT技術の関与がより簡単に日本語を使う事を可能にしている。自動翻訳なので当然ニュアンスとしてはおかしな日本語になっている事が多い。我々が知らない処で一人歩きしている奇妙な日本語、これも注視して行こうと思う。