Japanese trap - 日本語の行方

~ posterity of everything ~ 過剰における衰退

DIGITΛL FORΞST by サイバー’98

DIGITΛL FORΞST by サイバー’98

ヴェイパーウェイヴ専門レーベルのDREAMCATALOGUEからアーティストサイバー’98による新作DIGITΛL FORΞSTを紹介したい。2014年10月リリースの作品である。多くのVaporwaveのアーティスト同様に性別、年齢、国籍は不明。日本語使用や”PC”を意識した楽曲タイトルはvaporwave的なアプローチであるがサウンドは随所にトラップ・ビートの影響が見られる。音楽的にはBurialの様な、ビートと浮遊感のあるアンビエント・テクスチャーサウンドの美しい融合、これは別にBurialからの直接的な影響という意味では無いと思うが、そんな印象を得た。

この様なサウンドをVaortrapと言うのであろう。或はVaporwaveとTRAP beatの新たな形式としてのポスト・トラップミュージックを示した事になるのだろうか。

2分前後の短い曲が多く、何か日本の俳句に似たような表現の潔さを感じさせる。多くのVaporwaveの曲がノスタルジーと社会の衰退の中を浮遊するものが多い中、この作品群ちょっと違った未来感、かすかな希望の様な輝きを感じられる。そして何よりも「暖かさ」を感じる。このジャンルでは特異なサウンドである。Vaporwaveの様なジャンルは一部少数の確信犯的な存在が創造したものを模倣する形で急速に広がったジャンルに思えるが、サイバー’98の場合、個人の想いやコンセプトが時代を少し先に行った処のサウンドで優美に実っている。匿名ではあるが個人の想いを強く感じた作品である。

dreamcatalogue.bandcamp.com

 

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